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設備容量

電気・ガス・給排水の容量の目安
物件契約前に確認する4項目

物件を決めたあとで「容量が足りない」と分かると、引込工事に数十万円から百万円規模の費用が発生します。しかも、工事そのものができない物件もあります。契約前に確認すべき点をまとめました。

最終更新:2026年7月24日/掲載内容は一般的な目安です。最終的な判断は所轄の窓口にご確認ください。

結論契約前に確認する4項目

設備確認すること不足したときに起きること
ガス都市ガスかLPGか/引込管の口径/同時使用の最大kW ガス種が違うと機器がそのまま使えません。口径不足なら引込工事が必要になります。
電気(電灯)単相100V/200Vの契約容量(kVA)と分電盤の空き回路 冷蔵庫・製氷機を同時起動するとブレーカーが落ちます。増設には幹線工事が伴うことがあります。
電気(動力)三相200Vの引込があるか ドアタイプの食器洗浄機、スチームコンベクションオーブン、業務用IH、大型製氷機は三相前提の機種が主流です。引込がなければ数十万円規模の工事になります。
給排水・排気給湯器の能力/グリストラップの有無と容量/ダクトの経路と屋上開放の可否 ダクトが外に出せないと、加熱機器そのものが置けません。ビルの共用部を通す場合は管理会社の承諾が必要です。
「工事すれば何とかなる」とは限りません

三相200Vの引込は、道路側の電柱からの引き込みが必要で、ビルによっては物理的に難しいことがあります。ダクトも、屋上まで立ち上げるルートがなければ排気できません。お金の問題ではなく、そもそも不可能な物件があることを前提に内見してください。

1つめガス:種類・口径・同時使用量

都市ガスかLPGか

まず確認するのはガスの種類です。都市ガス(13Aなど)とLPG(プロパン)では、機器のノズル径などの仕様が異なり、互換性がありません。 中古の厨房機器を買う場合は特に重要で、ガス種を指定せずに購入すると使えないことがあります。

  • 都市ガス:配管が来ている地域に限られます。単価は比較的安定しています。
  • LPG:ボンベの設置場所が必要です。単価は供給業者との契約で決まり、業者によって差があります。同じ熱量を得るのに必要な体積が小さく、機器の口径も異なります。

引込管の口径と同時使用量

厨房機器のガス消費量はkWで表されます。たとえばガスレンジ(3口+オーブン)で約38kW、麺茹で機で約23kW、鋳物コンロは1口あたり約7kW。 これらを同時に使う最大量が、引込管の能力を超えていないかを確認します。

確認方法

ガスメーターの号数と引込管の口径を確認し、必要な合計kWを伝えてガス会社に問い合わせるのが確実です。口径が足りない場合は引込管の交換が必要になり、道路の掘削を伴うと工事費が大きく膨らみます。

2つめ電気:電灯と動力の違い

区分用途主な機器
単相100V
(電灯)
照明・コンセント 小型冷蔵庫、コールドテーブル、小型製氷機、炊飯器、包丁まな板殺菌庫
単相200V
(電灯)
やや大きい機器 電気オーブン、一部の温蔵庫
三相200V
(動力)
モーター・ヒーターを持つ大型機器 ドアタイプ食器洗浄機、スチームコンベクションオーブン、業務用IH、大型製氷機(115kg以上)、業務用エアコン

三相200Vが必要になる場面

三相200V(動力)は、一般の店舗物件には引き込まれていないことが多い電源です。以下のいずれかを導入する予定があるなら、内見時に必ず確認してください。

  • ドアタイプの食器洗浄機:アンダーカウンター型でも三相の機種があります。
  • スチームコンベクションオーブン:代表的な機種で20kW超。三相容量の大半をこの1台が占めます。
  • 大型の製氷機:日産115kg以上のクラスは三相が前提です。
  • 業務用エアコン:能力の大きい機種は三相です。
契約容量にも上限があります

引込があっても、契約容量が足りなければ増設が必要です。分電盤の空き回路数も確認してください。厨房機器は専用回路を求められるものが多く、盤に空きがなければ盤ごと交換になります。

無料・登録不要・5分 必要なガス・電気の容量を、機器構成から自動で計算する。 業態・席数・メニューを選ぶと必要な機器が決まり、そのガス消費量(kW)と電気容量(単相・三相)の合計を算出します。物件の契約容量を入力すれば、足りているかどうかも判定します。 厨房機器と費用を無料で診断する 内見の前に、必要容量の当たりをつけておけます

3つめ給排水:給湯能力とグリストラップ

給湯能力

保健所の施設基準では、手洗いと洗浄シンクにお湯が出ることが求められます。既存の給湯器が小さいと、複数箇所で同時に使えません。 号数(16号・20号・24号など)と、供給できる箇所数を確認してください。食器洗浄機を入れる場合は、給湯温度の要件も機種ごとに異なります。

グリストラップ

グリストラップは、排水に含まれる油脂やゴミを分離してから下水へ流す装置です。多くの自治体で飲食店に設置が求められます。

  • 既設があるか:居抜き物件では既にあることが多いですが、容量が業態に合っているかは別問題です。
  • 容量は足りるか:揚げ物中心の店では、油脂の量に見合った容量が必要です。
  • 清掃できる位置にあるか:週次で清掃する設備です。機器の下敷きになる位置に配置すると、その後ずっと苦労します。
  • 新設できるか:床下に空間がなければ、屋外設置や床上型を検討することになります。

排水の位置も重要です。シンクや食器洗浄機は排水口の近くに置くのが基本で、離れた場所に配置すると床に勾配を取るための嵩上げが必要になり、工事費が増えます。

4つめ排気:ダクトが出せない物件がある

加熱機器を使う厨房には、排気フードとダクトが必要です。そしてダクトの経路が確保できるかどうかは、物件の構造で決まります。 これは費用の問題ではなく、可否の問題です。

  • 既存のダクトはあるか:居抜きなら、前の店の排気設備がそのまま使えることがあります。ただし能力が業態に合うかは別途確認が必要です。
  • 排気の出口はどこか:屋上まで立ち上げるのか、壁面から出すのか。ビルの場合は共用部を通ることになり、管理会社の承諾が必要です。
  • 近隣への影響:排気の出口が隣家の窓や、他テナントの入口に向いていると、匂いの苦情につながります。
  • 消防の指導:フードとダクトの材質、可燃物からの離隔距離が確認されます。火を使用する設備等の設置届の対象です。
  • 給気の確保:排気だけでは空気が回りません。給気口がないと、扉が重くなる、ガス機器の燃焼が不安定になるといった不具合が出ます。
2階以上・地下の物件は特に注意

路面店以外では、ダクトの経路確保が最大の関門になります。「厨房は作れるが、揚げ物と炭火はできない」といった制約が付くこともあります。メニューを決めてから物件を探すのではなく、物件の制約を見てからメニューを詰めるほうが現実的な場合もあります。

印刷して持って行く内見時のチェックリスト

  • ガスの種類は都市ガスかLPGか。メーターの号数と引込管の口径は。
  • 電気の契約容量(kVA)は。分電盤の空き回路はいくつあるか。
  • 三相200V(動力)の引込はあるか。ない場合、引込は可能か。
  • 給湯器の号数と、同時に使える箇所数は。
  • グリストラップはあるか。容量と設置位置、清掃できる状態か。
  • 排水口の位置はどこか。厨房の予定位置から遠くないか。
  • 排気ダクトの既設はあるか。ない場合、どこへ出せるか。
  • 給気口はあるか。
  • 搬入経路:入口の幅、エレベーターの寸法(間口・奥行・高さ)、階段の踊り場。
  • 天井高。フードを吊る高さが確保できるか。
  • 柱・梁の位置と、床の段差。
  • 前の借主の業態は何だったか。残置設備の製造年は。

不明な項目は「わからない」のまま契約しないでください。仲介業者や管理会社に確認を依頼し、書面で回答をもらうのが確実です。

無料相談
契約前に、この物件で本当に足りるのかを確かめる。

厨房図面の作成依頼  /  厨房図面ラボ

必要な設備容量は、機器の構成が決まって初めて計算できます。選定機器ごとのガス消費量と電気容量を集計したリストがあれば、物件の契約容量と突き合わせて、引込工事の要否を契約前に判断できます。ガス会社や電力会社への問い合わせにもそのまま使えます。

  • 設備総容量リスト/ガス(kW)・単相・三相200Vを機器ごとに集計
  • 引込・工事の要否判定/物件の契約容量で足りるかを事前に確認
  • 厨房レイアウト図/給排水とガスの取り出し位置まで踏まえた配置
図面と設備総容量リストを依頼する 診断結果をお持ちでなくてもご相談いただけます。

よくある質問

三相200V(動力)の引込は必要ですか?

スチームコンベクションオーブン、ドアタイプの食器洗浄機、業務用IH、日産115kg以上の大型製氷機などは三相200Vを前提とする機種が主流です。引込のない物件では数十万円規模の工事が発生することがあり、ビルによっては物理的に引き込めない場合もあるため、物件契約の前に確認してください。

都市ガスとプロパンガスはどちらが有利ですか?

都市ガスは単価が比較的安定していますが、配管が来ている地域に限られます。プロパンは設置場所が必要で単価は供給業者との契約次第です。重要なのは有利不利より、購入する厨房機器のガス種を物件に合わせることです。両者に互換性はありません。

グリストラップは必ず必要ですか?

多くの自治体で飲食店に設置が求められます。居抜き物件では既設があることが多いものの、業態に対して容量が足りているか、清掃できる位置にあるかは別途確認が必要です。詳細は所轄の下水道担当窓口と保健所にご確認ください。

ダクトが出せない物件では何ができませんか?

排気経路が確保できない場合、加熱機器そのものが置けないことがあります。程度によっては「厨房は作れるが揚げ物と炭火はできない」といった制約になります。2階以上や地下の物件では特に起こりやすいため、内見時に排気の出口を必ず確認してください。

さらに詳しい質問と回答は よくある質問ページ にまとめています。

まとめこの記事の要点

  • 物件契約前に4項目を確認する(ガスの種類と口径/単相の契約容量/三相200Vの引込/給排水と排気)。
  • 三相200Vの引込とダクトの経路は、お金の問題ではなく可否の問題。そもそも不可能な物件がある。
  • ガスは種類(都市ガス/LPG)・引込管の口径・同時使用の最大kW。口径不足なら道路の掘削を伴う工事になることも。
  • グリストラップは有無だけでなく、容量と清掃できる位置かまで見る。
  • 内見にはチェックリストを印刷して持って行く。その場で確認しないと後戻りできない項目ばかり。

設備容量は、開業準備のなかで唯一「取り返しがつかない」領域です。機器も内装もあとから変えられますが、電気とガスとダクトは物件で決まってしまいます。内見は必ず、チェックリストを持って行ってください。

この記事を書いた人

ちゅーぼーシミュレーター 運営者

業務用厨房レイアウト設計/実務10年

  • HACCPコーディネーター
  • 二級管工事施工管理技士

業務用厨房のレイアウト図作成に10年従事。ラーメン店・カフェ・居酒屋・焼肉店・キッチンカーなどの個人店舗から、セントラルキッチンや学校給食施設まで作図を担当してきました。 現在は、その実務で使っていた機器選定と設備容量の基準をデータベース化し、本サイトの診断ロジックとして公開しています。

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