保健所の施設基準
検査で指摘されやすい8項目
営業許可の施設基準は、自治体ごとに運用が違います。同じ設備でも通る地域と通らない地域があるため、着工前の事前相談がすべてです。ここでは、全国的に指摘されやすい論点を整理します。
このページでわかること
大前提施設基準は自治体ごとに違う
飲食店営業許可の施設基準は、食品衛生法にもとづき各都道府県等が条例で定めています。骨格は共通していますが、細部の運用には地域差があります。 たとえばシンクの槽数、食器洗浄機を1槽として算入できるか、客席と厨房の区画をどこまで求めるかは、所轄の保健所によって判断が分かれます。
インターネットで見つかる「飲食店の保健所基準」は、たいてい特定の自治体の運用です。そのまま自分の店に当てはめないでください。 基準の確認は、必ず出店予定地を管轄する保健所で行います。
指摘を受けるのが設計段階なら、図面を直すだけで済みます。着工後なら壁を壊し、配管を引き直すことになります。この差が数十万円です。
全国共通の論点検査で指摘されやすい8項目
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1. 従業員専用の手洗い設備
調理場内に、洗浄用シンクとは別に必要です。消毒液の設置が求められ、手指を再汚染しないよう、肘で操作するタイプや自動水栓を指定される地域もあります。作業台の下に隠れて使えない位置にあると指摘されます。 -
2. シンクの槽数
二槽が標準ですが、三槽を指定される地域もあります。食器洗浄機を1槽として算入できるかにも地域差があるため、食洗機を入れる前提でシンクを減らす計画は、必ず事前に確認してください。 -
3. 客席と厨房の区画
扉や仕切りによる区画を求められることがあります。オープンキッチンやカウンターのみの構成で区画とみなされるかは、所轄の判断です。設計の根幹に関わるため、最優先で確認すべき項目です。 -
4. 床・壁・天井の仕上げ
清掃しやすい不浸透性の材料であることが求められます。床は排水勾配と排水溝の位置、壁は床から一定の高さまでの材質が見られます。木材の現し仕上げは、厨房内では原則として通りません。 -
5. 食器・器具の保管設備
扉付きの戸棚など、ほこりが入らない構造が求められます。オープンな棚だけの計画は指摘の対象になりやすい部分です。 -
6. 更衣スペースとロッカー
従業員の着替え場所と、私物を保管する場所が必要です。小規模店でも「厨房内に私服を置かない」ことを求められます。バックヤードがない物件では、確保の仕方を早めに相談してください。 -
7. 給湯設備
手洗いと洗浄シンクにお湯が出ることが必要です。給湯器の能力が足りず、複数箇所で同時に使えないケースがあります。 -
8. ねずみ・昆虫の侵入防止
排水口の防虫トラップ、扉の下端の隙間、換気口の網、配管の貫通部のふさぎなどが確認されます。居抜き物件では既存の状態をそのまま引き継ぐため、見落としやすい部分です。
このほか、冷蔵庫・冷凍庫に見やすい位置の温度計があること、廃棄物の保管場所が区分されていること、給水が飲用適の水であることなども確認されます。
着工前にやること事前相談の持ち物と進め方
持って行くもの
- 厨房の平面図:機器の配置、シンクと手洗いの位置、区画の取り方がわかるもの。手書きでも構いませんが、寸法は入れてください。
- 使用する機器のリスト:シンクの槽数、冷蔵庫の台数、食器洗浄機の有無。
- 提供するメニューの概要:生肉・生魚を扱うか、テイクアウトをするかで、必要な設備や許可が変わります。
- 物件の図面:給排水の位置、換気の経路がわかるもの。
相談で必ず聞いておく5つのこと
- シンクは何槽必要か。食器洗浄機を槽数に算入できるか。
- 手洗い設備の仕様(水栓の種類、設置位置)に指定はあるか。
- 客席と厨房の区画は、この計画で足りるか。
- 更衣スペースはどこに、どのように確保すればよいか。
- この業態・メニューで、飲食店営業許可以外に必要な許可はあるか。
相談内容と担当者名を記録しておくと、後日の確認や検査時の説明がスムーズです。回答が変わってしまうトラブルも防げます。
申請から交付まで検査当日の流れ
- 営業許可申請:内装工事の完成予定日の10日前ごろに、保健所へ申請します。申請書、施設の図面、食品衛生責任者の資格を証する書類、手数料(1.6〜2万円程度)が必要です。
- 検査日の調整:申請時に、施設検査の日程を決めます。工事の完了日から余裕をみて設定してください。
- 施設検査:担当者が来店し、図面どおりに施工されているか、施設基準を満たしているかを確認します。設備は稼働できる状態にしておきます(給湯が出る、冷蔵庫が冷えている、など)。
- 許可証の交付:基準を満たしていれば、数日から1週間程度で許可証が交付されます。交付を受けてから営業を開始します。
- 掲示:許可証と食品衛生責任者の名札を、店内の見やすい場所に掲示します。
検査には、申請者本人か、内容を説明できる人が立ち会います。工事業者に任せきりにせず、当日は必ず同席してください。
万が一のとき不適合だったらどうなるか
検査で基準を満たしていないと判断された場合、その場では許可が出ません。指摘事項を是正し、再検査を受けることになります。
- 軽微な指摘(消毒液の設置、温度計の追加、隙間のふさぎなど):その日のうちに対応できれば、写真の提出で済むこともあります。
- 設備の追加が必要な指摘(シンクの増設、手洗いの移設など):工事が必要になり、再検査まで1〜2週間かかります。
- 区画や仕上げに関わる指摘:内装のやり直しになり、1か月以上遅れることもあります。
いずれの場合も、開業日の延期と家賃の空払いが発生します。事前相談さえしておけば、ほとんどは防げる類の問題です。
無料相談厨房図面の作成依頼 / 厨房図面ラボ仮
口頭の説明では「たぶん大丈夫」で終わってしまい、着工後に食い違いが出ます。シンクの槽数、手洗いの位置、区画の取り方といった論点は、平面図の上でしか具体的に詰められません。機器を実寸配置した図面の作成をご依頼いただけます。
- 厨房レイアウト図/シンク・手洗い・区画・通路幅を実寸で明示
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よくある質問
シンクは二槽と三槽のどちらが必要ですか?
二槽が標準ですが、所轄の保健所によっては三槽シンクを指定されます。食器洗浄機を1槽として算入できるかにも地域差があるため、食洗機を入れる前提でシンクを減らす計画は、必ず着工前に確認してください。
手洗い設備は洗浄シンクと兼用できますか?
できません。調理場内に、洗浄用シンクとは別に従業員専用の手洗い設備が必要です。消毒液の設置が求められ、手指を再汚染しないよう肘で操作するタイプや自動水栓を指定される地域もあります。
オープンキッチンでも営業許可は取れますか?
取れる場合が多いですが、客席と厨房の区画をどこまで求めるかは所轄の判断によります。設計の根幹に関わる部分なので、着工前の事前相談で最優先に確認してください。
検査に落ちるとどうなりますか?
その場では許可が出ず、指摘事項を是正して再検査を受けることになります。軽微な指摘なら当日対応で済むこともありますが、シンクの増設や手洗いの移設が必要になると再検査まで1〜2週間、区画や仕上げのやり直しなら1か月以上かかります。
居抜き物件でも保健所の検査は必要ですか?
必要です。営業許可は施設と営業者に対して出されるため、前の店の許可を引き継ぐことはできません。既存の設備が現在の基準を満たしていない場合もあるので、契約前に図面を持って相談することをおすすめします。
さらに詳しい質問と回答は よくある質問ページ にまとめています。
まとめこの記事の要点
- 施設基準は自治体ごとに違う。骨格は全国共通だが、シンクの槽数や区画の運用には地域差がある。
- 指摘されやすいのは8項目(手洗い設備・シンクの槽数・客席と厨房の区画・床壁天井の仕上げ・保管設備・更衣スペース・給湯・防虫)。
- 事前相談は着工前。厨房の平面図、機器リスト、メニュー概要、物件図面を持参する。
- 相談では担当者の名前を控えておく。後日の確認と検査当日の説明がスムーズになる。
- 不適合なら是正して再検査。その場では許可が出ないため、工程に余裕を見ておく。
施設検査は、落とすための試験ではありません。着工前に図面を持って相談していれば、当日はほぼ確認作業だけで終わります。逆に、相談なしで工事を進めた場合の手戻りは、金額も日数も大きくなります。
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