業務用冷蔵庫の選び方
席数からの容量目安と縦型・台下の使い分け
冷蔵庫は「大きいほど安心」ではありません。大きすぎれば場所と電気代を食い、小さすぎれば仕入れが週何回にも増えます。容量ではなく、1日に何をどれだけ保管するかから決めます。
このページでわかること
基本縦型・台下・冷凍庫の使い分け
| 種類 | 役割 | 向く使い方 |
|---|---|---|
| 縦型冷蔵庫 (リーチイン) | ストック。1日〜数日分の在庫を保管します | 仕込み品、仕入れたままの食材、ケース単位の保管 |
| コールドテーブル (台下冷蔵庫) | 作業台を兼ねた手元の保管 | 営業中に使う食材。天板が作業スペースになります |
| 縦型冷凍庫 | 冷凍ストック | 冷凍食材、作り置き、氷 |
| 冷凍冷蔵庫 | 1台で冷蔵室と冷凍室を持つ | スペースが限られる小規模店 |
| ネタケース・冷蔵ショーケース | 見せながら冷やす | 寿司店、ケーキ、ドリンクの客席側陳列 |
営業中に一番よく開けるのは台下です。調理位置から一歩も動かずに開けられる場所にコールドテーブルを置き、縦型はその後ろか通路の外側に置きます。これが逆になると、営業中ずっと余計な動きが発生します。→ 厨房レイアウトと通路幅
考え方容量の決め方
容量は「席数×○リットル」のような単純な式では決まりません。実際に効くのは次の4つです。
- ① 仕入れの頻度/毎日仕入れるなら小さくて足ります。週2回なら数日分を抱える容量が必要です。
- ② 仕込みの方式/作り置きが多い業態ほど、仕込み品の保管場所が要ります。
- ③ メニューの品目数/品目が多いほど、量より「種類の置き場所」が効いてきます。
- ④ 客数のピーク/回転が速い店は、営業中に手元へ出しておく量が増えます。
業態ごとの傾向
| 業態 | 冷蔵の傾向 | 冷凍の傾向 |
|---|---|---|
| ラーメン店 | スープ・タレ・チャーシューなど仕込み品の保管量が大きい | 麺・具材の保管で必要 |
| カフェ | 品目は少なく、乳製品と食材が中心。ドリンク用の冷却も | 小さめで足りることが多い |
| 居酒屋 | 品目数が多く、種類の置き場所が課題になります | 冷凍食材の比率が高い店では大きめに |
| 焼肉店 | 精肉の保管が中心。ブロックで仕入れる場合は大型が必要 | ある程度必要 |
| 寿司店 | ネタケース+台下の構成。鮮魚の保管温度帯に注意 | 冷凍ネタ用に必要 |
| テイクアウト専門 | 仕込み品と包材の保管。回転が読めれば小さくできます | 比率が高くなりやすい |
当サイトの無料診断では、業態・席数・メニューの構成から必要な冷蔵・冷凍の台数とサイズを算出します。
注意カタログの内容積と、実際に入る量は違う
カタログに書かれた内容積(リットル)は、庫内の空間全体の体積です。実際に食材を置ける量は、これよりかなり少なくなります。
- 棚板の厚みと段数/棚が増えるほど、実際に置ける高さは分割されます。
- ホテルパン・バットの規格/使うバットのサイズに対して、棚の奥行と幅が合うか。入るバットの枚数で考えるほうが実用的です。
- 冷気の吹出口周辺/塞ぐと冷えません。ここには物を置けません。
- 詰め込みすぎると冷えない/庫内の空気が回らなくなり、温度が上がります。8割程度で運用できるサイズを選びます。
選定のときは、庫内の有効内寸(幅×奥行×高さ)と棚の段数を確認してください。使用するバットやコンテナが何枚入るかで判断すると、実運用と一致します。カタログの数字だけで比べると、同じ容量でも使い勝手が大きく違うことがあります。
判断1台にまとめるか、分けるか
- 故障しても全滅しない1台止まっても、もう1台へ移せます
- 温度帯を分けられる用途ごとの管理がしやすくなります
- 搬入しやすい小型なら経路の制約を受けにくい
- 開ける回数を分散できる庫内温度が安定します
- 設置面積あたりの容量が大きい狭い厨房では効いてきます
- 本体価格・電気代が有利になることがある容量あたりで見た場合です
- コンセントの数が少なくて済む専用回路の増設を抑えられます
冷蔵庫が止まると、食材の廃棄と営業停止の両方が起きます。店の規模に対して1台に集中しすぎないというのは、実務ではよく採る考え方です。
設備電源・放熱・設置条件
電源
多くの縦型冷蔵庫とコールドテーブルは単相100Vですが、大型機やインバータ搭載機では仕様が異なる場合があります。 重要なのは専用回路にすることです。他の機器と同じ回路に載せると、起動時の電流でブレーカーが落ちます。分電盤の空き回路数は、物件の内見時に確認してください(→ 電気・ガス・給排水の容量)。
放熱と設置
- 背面・側面の隙間/機種ごとに指定があります。壁に密着させると冷えません。
- 熱源から離す/コンロやフライヤーの隣は、冷却効率が落ち、故障も早まります。
- 放熱方向/機種によって前面・背面・側面と異なります。壁に向けると熱がこもります。
- ドレン(除霜水)の処理/排水経路が必要な機種があります。設置場所を決める前に確認します。
- 扉の開き方向/右開き・左開きを選べる機種があります。動線に合わせて指定してください。
実務選定でよくある失敗
- 大きすぎる/中身がスカスカだと、開けるたびに冷気が逃げて電気代だけがかかります。
- 熱源の隣に置いた/冷えにくく、電気代が上がり、寿命も縮みます。
- 扉が通路側に開いて動線を塞ぐ/配置を決める段階でしか直せません。
- 台下を作業台代わりにしたが高さが合わない/作業台と天板の高さを揃えて計画します。
- 冷凍が足りない/開業後に増設すると、置き場所と電源の両方で苦労します。
- 中古の冷蔵庫を安く買ったが、すぐ壊れた/冷却系統を持つ機器は中古で慎重に選ぶ側です。→ 中古厨房機器の選び分け
厨房図面の作成依頼 / ちゅーぼーラボ
冷蔵庫は、容量よりもどこに置くかで使い勝手が決まる機器です。扉の開き方向、放熱スペース、熱源からの距離、作業台との高さの揃え方まで含めて配置すると、営業中の無駄な動きがなくなります。搬入経路に入るかも同時に確認します。
- 冷蔵・冷凍の容量計画/仕入れ頻度と仕込み量から台数とサイズを決定
- 厨房レイアウト図/扉の開き方向・放熱スペース・作業台との高さ合わせ
- 電源計画/専用回路の必要数と分電盤の確認
よくある質問
業務用冷蔵庫の容量は席数から決められますか?
席数だけでは決まりません。効いてくるのは仕入れの頻度、仕込みの量、メニューの品目数、ピーク時の客数です。毎日仕入れる店と週2回の店では、必要な容量が大きく変わります。当サイトの無料診断では、業態と席数にメニュー構成を加えて台数とサイズを算出しています。
縦型冷蔵庫とコールドテーブルはどちらを優先すべきですか?
役割が違うので、どちらか一方にはなりません。コールドテーブルは営業中に使う食材を調理位置の手元に置くためのもの、縦型は数日分のストックを保管するためのものです。狭い厨房では、まず調理位置の台下を確保し、ストックは通路の外側に縦型を置く形が基本になります。
カタログの内容積どおりに食材が入りますか?
入りません。内容積は庫内空間の体積で、実際は棚板の厚みや冷気の吹出口があり、詰め込みすぎると冷えなくなります。8割程度で運用できるサイズを選んでください。選定時は内容積より有効内寸と棚の段数を見て、使用するバットが何枚入るかで判断すると実運用と一致します。
冷蔵庫は1台にまとめたほうが安いですか?
容量あたりで見れば本体価格や電気代が有利になることはあります。ただし1台に集中させると、故障したときに全食材が行き場を失い、営業も止まります。台数を分けておくと開け閉めも分散して庫内温度が安定するため、店の規模に応じて分ける判断もよく採られます。
さらに詳しい質問と回答は よくある質問ページ にまとめています。
まとめこの記事の要点
- 容量は席数ではなく、仕入れ頻度・仕込み量・品目数・ピーク客数から決める。
- 台下は手元、縦型はストック。役割が違うので置き換えられない。
- カタログの内容積ではなく有効内寸と棚の段数、入るバットの枚数で判断する。
- 8割で運用できるサイズを選ぶ。詰め込むと冷えない。
- 冷蔵庫は専用回路・放熱スペース・熱源から離すの3点で寿命と電気代が変わる。
冷蔵庫は毎日いちばん多く開ける機器です。容量の数字より、置く場所と扉の向きのほうが日々の効率に効いてきます。配置を決める段階で、動線と一緒に考えてください。
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