飲食店の水道光熱費の目安
売上比率と、機器選定で決まる固定費
水道光熱費は、開店してから節約するものだと思われがちですが、実際は機器を選んだ時点で大部分が決まっています。24時間動き続ける機器をどう選ぶか。ここが最も効きます。
このページでわかること
目安水道光熱費の売上比率
飲食店の水道光熱費は、一般に売上のおおむね5〜8%程度が目安とされます。ただしこれは業態・立地・季節・営業時間で大きく変わる数字で、加熱調理の多い業態や長時間営業の店では、これを上回ることがあります。
| 費目 | 売上比の目安 | 性質 |
|---|---|---|
| 電気 | 3〜5%程度 | 基本料金+従量。常時稼働の機器が効く。空調の比重も大きい |
| ガス | 1〜3%程度 | 加熱調理の量に比例。業態による差がもっとも大きい |
| 水道 | 1〜2%程度 | 洗浄・仕込み・製氷。下水道使用料も含まれます |
いずれも一般的な目安です。単価は地域と契約によって異なり、季節変動も大きいため、事業計画では余裕を持った数字を置いてください。
光熱費には基本料金という固定部分があります。売上が計画に届かない時期は、比率が想定より大きくなります。資金計画では、比率ではなく金額でも見込んでおいてください。→ 飲食店の開業資金
内訳何に使われているか
電気
- 常時稼働の機器/冷蔵庫、冷凍庫、製氷機。営業していない時間も動き続けます。ここが電気代の土台です。
- 空調/客席と厨房。夏場は電気代の大きな部分を占めます。
- 加熱機器/電気オーブン、IH、スチームコンベクションオーブンなど。
- 洗浄機/加熱とモーター。
- 照明・換気ファン/営業時間中は動き続けます。
ガス
- コンロ、レンジ、フライヤー、麺茹で機、寸胴。
- 給湯/洗浄と仕込みで使う湯。見落とされやすい費目です。
- 都市ガスかLPGかで単価の構造が変わります。LPGは供給業者との契約次第です。
水道
- 洗浄(食器・調理器具・清掃)、仕込み、製氷、トイレ。
- 請求には下水道使用料が含まれます。使った水量に応じて増えます。
業態差どこにコストが偏るか
| 業態 | 重い費目 | 理由 |
|---|---|---|
| ラーメン店 | ガス/水道 | スープの炊き出しと麺茹で機が連続稼働します。茹で水の使用量も大きい |
| カフェ | 電気 | エスプレッソマシン、冷蔵ショーケース、製氷機。ガスの比重は小さい |
| 居酒屋 | 電気/ガスの両方 | 多品目・多熱源。冷蔵庫の台数も多くなります |
| 焼肉店 | 電気(排気・空調) | ロースターの排気量が大きく、空調負荷も大きくなります |
| バー | 電気 | 製氷機と冷蔵庫が中心。加熱は限定的です |
| テイクアウト専門 | 電気/ガス | 調理方式によります。洗浄が少ないぶん水道は軽め |
本題機器選定の段階で決まる部分
水道光熱費のうち、開業後の努力ではほとんど動かせない部分があります。それは機器の構成で決まります。
- 常時稼働機器の台数と容量/冷蔵庫・冷凍庫・製氷機は24時間動きます。必要以上に大きいものを入れると、毎月ずっと払い続けることになります。
- 機器の年式と効率/古い中古機は消費電力が大きいことがあります。本体価格の差を、数年の電気代で逆転することがあります。
- 設置場所/冷蔵庫や製氷機を熱源の隣に置くと、冷却効率が落ちて電気を余分に使います。
- 排気と給気のバランス/給気が不足すると燃焼効率が落ち、空調も効きにくくなります。→ 排気フードとダクト
- 契約容量/過大な契約は、基本料金として毎月かかり続けます。
- 断熱と扉の性能/冷蔵庫のパッキンが劣化していると冷気が漏れ続けます。
中古の冷蔵庫が新品より数十万円安かったとしても、消費電力が大きく、故障リスクも高いなら、数年で差は縮まります。常時動く機器ほど、初期費用だけで判断しないほうが結果的に安く済みます。→ 中古厨房機器の選び分け
契約契約容量と基本料金
電気料金は基本料金+従量料金で構成されます。基本料金は契約容量で決まるため、使わなくても毎月発生します。
- 過大な契約は毎月の固定費になります。ただし不足するとブレーカーが落ち、営業が止まります。
- 三相200V(動力)を引くと、その分の基本料金が別に発生します。使う機器が1台だけなら、単相で足りる機種に変える選択肢も検討する価値があります。
- ガスもLPGは契約次第で単価が変わります。複数社に見積もりを取る余地があります。
- 開業前に必要容量を計算しておく。契約容量は、機器構成から算出できます。
容量の考え方と物件契約前の確認項目は 電気・ガス・給排水の容量 にまとめています。
運用開業後に下げられる部分
- 冷蔵庫の詰め込みすぎをやめる/庫内の空気が回らないと冷えず、余計に電気を使います。
- パッキンの点検/冷気が漏れていれば冷やし続けます。定期的に確認します。
- 凝縮器(コンデンサ)の清掃/埃が詰まると放熱できず、効率が落ちます。
- 製氷機の清掃/スケールが付くと能力が落ち、電力あたりの製氷量が減ります。
- 換気ファンの運転時間/営業前後の運転を見直します。ただしガス機器使用中は必ず運転してください。
- 給湯温度の設定/必要以上に高い設定は、そのままコストになります。
- 照明のLED化/営業時間が長い店ほど効きます。
- 検針票を毎月記録する/数字を並べておくと異常に気づけます。急な増加は故障や漏水のサインです。
換気と給気は、ガス機器を安全に使うための設備です。光熱費を理由に止めると、不完全燃焼の危険があります。削減の対象は、安全と衛生に関わらない部分だけにしてください。
厨房図面の作成依頼 / ちゅーぼーラボ
水道光熱費の大部分は、機器の構成と契約容量で決まります。過大な容量の機器を入れない、三相が本当に必要かを見極める、熱源と冷却機器を離す。この3点は図面の段階でしか調整できません。開業後に取り返すのは困難です。
- 設備総容量リスト/ガス(kW)・単相・三相を機器ごとに集計
- 契約容量の適正化/過大契約による基本料金の無駄を回避
- 厨房レイアウト図/熱源と冷却機器の位置関係まで踏まえた配置
よくある質問
飲食店の水道光熱費は売上の何%が目安ですか?
一般にはおおむね5〜8%程度が目安とされます。内訳としては電気が3〜5%、ガスが1〜3%、水道が1〜2%程度です。ただし業態・立地・営業時間・季節で大きく変わり、加熱調理の多い業態や長時間営業の店ではこれを上回ります。事業計画では余裕を持った数字を置いてください。
電気代が高くなりやすいのはどんな店ですか?
冷蔵庫・冷凍庫・製氷機など24時間稼働する機器が多い店です。カフェやバーは加熱調理が少ない一方で、製氷機と冷蔵ショーケースが常時動くため電気の比重が高くなります。焼肉店は排気量が大きく、空調負荷も加わります。
中古の厨房機器は光熱費の面で不利ですか?
年式が古い機器は消費電力が大きいことがあります。特に冷蔵庫や製氷機のように24時間動く機器では、本体価格の差を数年の電気代で逆転することがあります。常時稼働する機器ほど、初期費用だけで判断しないほうが結果的に安く済みます。
契約容量は大きめにしておくべきですか?
電気料金は基本料金と従量料金で構成され、基本料金は契約容量で決まるため、過大な契約は使わなくても毎月発生します。一方で不足するとブレーカーが落ちて営業が止まります。機器構成から必要容量を計算し、余裕を見つつ過大にならない容量を選んでください。
さらに詳しい質問と回答は よくある質問ページ にまとめています。
まとめこの記事の要点
- 水道光熱費は売上のおおむね5〜8%が目安。電気3〜5%、ガス1〜3%、水道1〜2%程度。
- 電気代の土台は24時間動く冷蔵庫・冷凍庫・製氷機。ここは機器選定で決まる。
- 業態で偏りが違う。ラーメン店はガスと水道、カフェとバーは電気。
- 契約容量は基本料金として毎月固定でかかる。三相を引けばその分も別に発生する。
- 運用で下げられるのは清掃・設定・点検の範囲。換気と給気は削減対象にしない。
水道光熱費は、開業前に8割が決まり、開業後に動かせるのは残り2割という性質のコストです。機器を選ぶ段階で容量と配置を詰めておくことが、いちばん効く節約になります。
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価格相場/開業資金/資格・届出/スケジュール/保健所の施設基準/中古機器/レイアウト/設備容量/用語集