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業態別 開業ガイド

ラーメン店開業に必要な
厨房機器一覧と費用相場

ラーメン店の厨房機器は、「席数」と「スープを店で炊くか、仕入れるか」の2つでほぼ決まります。この記事では、必須機器の一覧と新品・中古の費用の目安、機器選びの分かれ道、法令の確認ポイントを順番に解説します。

まず揃える必須機器(どの店でも共通)

メニューに関係なく、保健所の営業許可と日々の営業に必要な機器がこちらです。価格は新品の参考価格と、中古販売サイトの掲載価格の目安です(本体価格のみ・工事費別)。

機器役割新品の目安中古の目安
二槽シンク洗浄用。保健所検査の標準約8万円約3万円
手洗い器保健所基準で必須約2.5万円約1万円
作業台盛付・仕込み約5万円約2万円
吊戸棚扉付き収納。検査で必須とされる場合あり約3.5万円約1.5万円
茹で麺機ラーメン店の心臓部約64万円約15万円
鋳物コンロ寸胴用の高火力バーナー約2.6万円/口約4〜8.5万円
コールドテーブル具材の冷蔵+作業面約117万円(定価)約13万円
製氷機(25kg級〜)お冷・ドリンク用約54万円(定価)約11.5〜17万円

※ 2026年7月時点の調査値。「定価」はメーカー希望小売価格で、実売は大きく下回ることがあります。中古は一点物のため掲載の入れ替わりで変動します。

新品と中古で最も差が付くのは冷蔵機器と製氷機です。コールドテーブルや製氷機は中古なら定価の1〜2割程度で見つかることがあり、ここを中古にするだけで初期費用が数十万円変わります。一方、シンク・作業台などの板金類はもともと安いため、新品でも負担は小さめです。

席数で決まる機器茹で麺機のテボ数

茹で麺機は「テボ(麺を茹でるカゴ)を同時に何本落とせるか」で能力が決まります。ピーク時に注文を待たせないためのテボ数は、席数からおおむね次のように決まります。

席数茹で麺機の構成考え方
〜15席6テボ ×1台カウンター中心の小規模店なら6テボで回ります
16〜30席9テボ ×1台同時注文が増えるため9テボへ
31席〜9テボ+6テボ の2台ピークの同時茹で数が1台では足りません

席数は製氷機の能力や冷蔵設備の容量にも連動します。「席数を1つ入力すれば連動する機器がすべて決まる」のがラーメン店の特徴です。

いちばんの分かれ道スープを店で炊くか、仕入れるか

機器構成と費用が大きく動くのがここです。寸胴を炊くための鋳物コンロの口数が変わり、火力の合計(=ガス容量と換気設備の規模)に直結します。

スープを仕入れる
コンロ1口 仕入れたスープを温めるだけなので、鋳物コンロは1口で足ります。火力・換気とも最小構成。
スープを店炊き
コンロ2口 寸胴用に2口。営業中もスープを炊き続けるため、ガス容量と換気に余裕が必要になります。
チャーシューも店内調理
コンロ3口 寸胴+煮豚で口数が足りず3口に。火力の合計が最も大きい構成です。※スチコンで作る選択肢もあります(下で解説)。
鋳物コンロは1口あたり都市ガス約7kWと高火力です。口数が増えるほどガスメーターの容量と排気フードの規模に効いてくるため、「店炊きにするかどうか」は物件契約前に決めておきたい項目です。
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チャーシューは「スチコン+真空包装機」という選択肢も

チャーシューの店内調理というと寸胴で長時間炊き込むイメージですが、いまはスチームコンベクションオーブン(スチコン)と真空包装機を組み合わせた低温調理が有力な選択肢です。ブロック肉を調味液と一緒に真空パックし、スチコンに温度と時間をセットするだけ。しっとり柔らかいチャーシューが安定して作れます。

機器役割新品の目安中古の目安
スチームコンベクションオーブン温度・時間を数値管理して加熱約90万円約35万円
真空包装機調味液ごと真空パック。保存性も向上約30万円約12万円

※ スチコンは三相200V(動力)を前提とする機種が主流です。引込のない物件では別途工事が必要になるため、導入するなら物件契約前に確認を。

売上側:手作りチャーシューは単価アップの武器になる

「自家製チャーシュー」はメニューの看板になり、チャーシュー麺への格上げ・チャーシュー増しトッピング・おつまみチャーシューなど、客単価を上げる展開がしやすくなります。仕入れ品のチャーシューでは打ち出しにくい付加価値です。

試算例:チャーシュー増し(+200円)が1日20食出ると、200円 × 20食 × 25営業日 = 月10万円の売上上乗せ。中古のスチコン+真空包装機(約47万円)なら、トッピングの上乗せ分だけでも回収の道筋が見えてきます。※数字は仮定に基づく試算です。

人件費側:バイトでも同じ品質で作れる=職人に依存しない

寸胴での炊き込みは火加減の調整と火の番で数時間拘束され、仕上がりも作る人の経験に左右されます。スチコン調理は温度・時間・調味液の配合をすべて数値でレシピ化できるため、手順さえ覚えればアルバイトでも同じ品質を再現できます。

セットしたあとは付きっきりになる必要がないので、営業と並行して仕込みが進められるのも大きい点です。「仕込みのために店主が早朝から入る」時間を減らせれば、その分の人件費(あるいは店主自身の労働時間)を削減できます。

材料費側:ブロック肉の仕入れで原価をコントロール

完成品のチャーシューを仕入れるより、豚肩ロースやバラのブロック肉から自家製したほうが1枚あたりの原価は抑えやすくなります。真空調理は加熱による目減り(歩留まりの悪化)が少ないのも利点で、同じ仕入れ量から取れる枚数が増えます。真空パックのまま冷蔵保存できるため、仕込みをまとめて行ってロスを減らす運用もしやすくなります。

まとめると、スチコン+真空包装機は「売価は上げる・人件費と材料費は下げる」を1セットで狙える投資です。初期費用は増えますが、鋳物コンロ3口+長時間の炊き込みと比べて、ガス容量・換気への負担が軽くなる面もあります。導入する場合は三相200Vの引込だけ先に確認してください。

メニューで加わる機器

サイドメニューを増やすと、その分だけ機器が加わります。代表的なものは次のとおりです。

メニュー加わる機器新品の目安中古の目安
餃子餃子焼器約15万円約6万円
チャーハン中華レンジ約25万円約10万円
唐揚げフライヤー約31万円約7万円
ご飯もの業務用炊飯器(1升×2 または 3升+保温ジャー)約10〜18万円約4〜7.5万円

餃子焼器・中華レンジ・フライヤーはいずれも火を使う機器のため、追加するほど排気フードの対象範囲とガス容量が増えます。「後から餃子を始める」は換気設備の改修を伴うことがあるので、開業時に方針を決めておくのが安全です。

費用の総額はいくらかかるか

20席規模のラーメン店で、厨房機器の本体価格は新品なら150〜300万円、中古中心なら60〜130万円が目安です。これに搬入・設置費、ガス・電気・給排水の工事費、什器・内装費が別途かかります。

内訳は席数とメニュー構成で大きく変わるため、総額だけで判断せず、自分の条件での機器一覧を確認するのが確実です。

法令・許可の確認ポイント

ラーメン店で特に確認しておきたいのは次の3点です。

項目内容
排気フード火を使用する設備には排気フード(換気設備)の設置が必要です。寸法・風量・ダクト経路は機器の並びで決まるため、レイアウト確定後に設備業者の確認が要ります。最終確認は所轄消防署へ。
シンクと手洗い保健所検査では二槽シンク+手洗い器が標準ですが、一部の保健所は三槽シンクを指定します。管轄の保健所へ事前相談を。
寸胴の長時間炊きスープを店炊きする場合、換気能力(フード・ダクト)に加えて、グリスフィルターの清掃計画も確認しておくと安全です。

まとめこの記事の要点

  • 必須機器は席数で決まるもの(茹で麺機のテボ数、製氷機の能力)と、メニューで決まるもの(餃子焼き器、フライヤー)に分けて考える。
  • 最大の分岐はスープを店で炊くか、仕入れるか。店炊きなら鋳物コンロの口数が増え、ガスメーターの容量と排気フードの規模に直結する。
  • 中古で最も差が出るのはコールドテーブルと製氷機。ここを中古にするだけで初期費用が数十万円変わる。シンクや作業台はもともと安く、中古にしても効果は小さい。
  • チャーシューをスチコン+真空包装機で自家製にすると、売価を上げながら仕込みの拘束時間を減らせる。導入するなら三相200Vの引込確認が先。

ラーメン店は、厨房機器の構成が「何を出すか」よりも「どこまで店で作るか」で決まる業態です。図面を引いていて費用が跳ね上がるのは、決まって店炊きを後から決めたときでした。スープの方針だけは、物件を契約する前に決めておいてください。

この記事を書いた人

ちゅーぼーシミュレーター 運営者

業務用厨房レイアウト設計/実務10年

  • HACCPコーディネーター
  • 二級管工事施工管理技士

業務用厨房のレイアウト図作成に10年従事。ラーメン店・カフェ・居酒屋・焼肉店・キッチンカーなどの個人店舗から、セントラルキッチンや学校給食施設まで作図を担当してきました。 現在は、その実務で使っていた機器選定と設備容量の基準をデータベース化し、本サイトの診断ロジックとして公開しています。

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